●田沢が警戒する圧力
「メジャーに挑戦できるチャンスはなかなかない。不安は多いが試してみたい。自信は分からない。日本のプロに行っても、そのまま終わることもある。力を試したい」
今年の都市対抗野球で新日本石油ENEOSを優勝に導いた田沢純一(横浜商大高=22)がこの日(11日)、記者会見。正式にメジャー挑戦を表明した。ドラフトで上位指名が確実なアマ選手のいきなりのメジャー挑戦は実質的には今回が初めて。早速、12球団は反発。5球団から挨拶を受けていることを認めた新日石野球部の大久保監督も、
「残る部員にドラフトで迷惑がかからないか、田沢のメジャー挑戦が圧力でご破算にならないか」
と不安を口にした。
現行のルールでは田沢のメジャー行きは全く問題がない。田沢は12球団に対してドラフトで指名しないようにファクスを送った。それでもどこかの球団が指名しても、本人がアメリカへ行きたいといえば、プロ野球側は口出しも止めることもできない。その点に関しては加藤コミッショナーも「田沢選手は日本のプロ野球の選手ではない」とプロ野球のルールが及ばないことを認めている。
だからこそ「日本プロ野球の根幹にかかわる問題。メジャー球団は(ドラフトで指名されるような選手には手を出さないという)紳士協定を破るのか」と日本側は怒りの矛先を大リーグに向けているのである。
●自らルール破り
それにしてもここぞとばかりにしゃしゃり出てくる巨人は一体何なのか。
田沢のメジャー獲得について巨人の滝鼻オーナーは先日「国交断絶だな。日本人メジャーリーガーはみんな引き揚げさせる。WBCだって協力しているっていうのに。加藤さん(コミッショナー)からMLBに働きかけてもらう。日本がいないと(WBCは)成立しないだろう」と、おどかしというか、お門違いな発言。
そうした同オーナーの意向を受けてなのか、複数のメジャー関係者によると「加藤コミッショナーから、メジャー球団が田沢を獲得することに関して、WBCの参加うんぬんを含める内容の書簡がMLBに送られた」という。
去る10日には渡辺会長が「WBC監督はワンちゃん。コミッショナー以下、土下座してでも頼む」などと言い出した。
WBC監督問題はすでに12球団でコミッショナーに一任することで一致している。それなのに巨人会長がアレコレ言うのは越権行為であり、混乱を招くだけ。監督問題で自分たちの都合のいいように、世論をリードしているといわれても仕方がない。
それより何より、自分たちでつくったルールを、自ら破っているのに、その自覚さえないようだ。
ところがこの日の加藤コミッショナーは「新聞で読みました。私のところに直接、連絡がきたわけではない。(渡辺会長は相談すべき有識者なのか?)オーナーではないが球団にもかかわっている。球団からは意見を聞いていると思っている」とあいまいな態度に終始した。
●根本問題はおざなり
「渡辺会長も滝鼻オーナーも、あたかも自分たちの意見が日本球界全体の意見であるかのような言い方をする。ですが、自分たちが言っていることが一体どれだけ理不尽なのか、ということを認識していないことが致命的なんです」
と言うのはスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏である。
「渡辺会長は自分が発言することで、自分の存在感を誇示したいだけ。身勝手にも程がある。滝鼻オーナーの“国交断絶だ!”という発言も、こけおどしにもなりません。そもそも12球団の一オーナーに日本人選手を引き揚げさせる権限などあるわけがない。なぜ、田沢がメジャーに挑戦すると言い出したのか、という根本的な問題こそが大事なのに、そのことには触れない。渡辺会長も滝鼻オーナーも、日本の大メディアに属する人間の言葉遣いとは思えませんし、MLBからすれば日本はそんなことしか言えないのか、とバカにされるだけです」
この日、田沢についてロッテのバレンタイン監督が「選手に選択肢を与えなければいけない。ルールをつくるのではなく、日本でプレーするのが一番という環境をつくっていくべきだ」と話していたが、もっともだろう。
王監督も認めるように、より高いレベル、よりよい環境で自分の力を試したい、と思うのはアスリートの本能だ。巨人の好き勝手がまかり通るようではプロ野球の発展はない。
(日刊ゲンダイ2008年9月12日掲載)
>>既に日本のブロ野球は巨人に潰されているのですけど・・・。
posted by ギターの痔瘻 at 21:22|
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